人生を生きなおすことはできるのか ふたつのみなしごの話
昨夜、「義母と娘のブルース」を初めて見たんですが
初めて見たのが最終回。
流行りのものには逆らう性質なもんで
「綾瀬はるかの美肌すごい」とか「娘役の子はほっぺぷりぷりでかわいいわね~」とか
ぼーっとみていたわけですが
物語のクライマックス部分で娘が
「これからお義母さんには自分の時間を大切に生きてほしい」というんですね。
するとお義母さんは
「あなたが嬉しいと、自分も嬉しかった。
あなたが悲しいときは、私も心が張り裂けそうになった。
まるで自分のことのように思えたんです。
あなたのわがままも全部かなえてあげたかった。
子供のころ、自分がしてほしかったことをあなたに全部してあげたかった。
あなたを育てることで、私自身も育てなおしていた。
だから、あなたは恩にきる必要は全くない」
というような事を言っていまして。。。。
両親をなくし、育ててくれた祖母さえも亡くなり、
施設に預けられ、仕事をして自分の力で生きていくしかなかったお義母さん。
一生懸命働いて、あるとき自分のなかにぽっかりと空洞があることに気づきます。
そして出会った旦那さんと娘さん。
娘を育てることは思い通りいかないことだらけだったけど、
だんだん自分が満たされていたことに気づくお義母さん。
それをお義母さんは「自分のエゴだ」といいますが
娘は「それは愛っていうんだよ」とお義母さんを抱きしめます。
最近読んだ本
上海、租界で育った主人公は幼いときに両親が行方不明に
その謎を解き明かすために戦火の上海へ渡ります。
舞台は子供のころの上海の記憶と行きつ戻りつしながら
ねじれつつ核心へ。。。
両親を失い、イギリスへ戻ってからの主人公は
「すんなりと溶け込むよう振る舞い」
「それは割うまくいっていたように思う」
叔母の遺産を相続し、社会的にも名のある探偵として地位を確立しつつある主人公。
同じように両親を失った女の子、ジェニファーを引き取り養女として育てます。
そんな最中になぜ!?と思うのですが、主人公は上海に行くんですね。
そこからの行動がすこし狂気じみてて読み手は混乱するんですが。。
いままで静かに理知的に語られてきたことが、妙に感情的にそして、「子供のころの記憶」頼りに進められていくんです。
主人公は事件から10年以上経っているのに「どこかに両親は幽閉されている」と信じていて
「その手がかりは家に訪ねてきた事あった警部が知っている」
とその年老いた警部を探しだします。
まるで子供のころに隣家のアキラくんとしていた探偵ごっこそのものです。
そして意外な人物から真実を知らされることになるのですが。。。
この主人公、クリストファーが探していたのは「両親が失踪しなかったら自分が生きていたであろう世界」
もしくは「失われた子供時代を取り戻す」ことだったのかなあと思います。
「わたしたちが孤児だったころ」とタイトルは過去形ですが
現在進行形でクリストファーは「孤児」であると思います。
そしてもう一人の孤児、ジェニファー
彼女はいろいろなことをあきらめて、大人になっていきます。
真反対の結末が描かれる2つのみなしごの物語
ただ言えるのは子供のころに抱えた空白を埋めるために
残りの人生全部を費やすこともあるってことです。
そのくらい、子供時代って大切。
私もこどものころ機能不全家族で育ちました。
今は自分で仕事も持ち、趣味も持ち、子供もいます。
まあ、ちょっと貧乏ですが、生活していくには全然不自由のない生活。
だけど、何かにつまずくとそれが大きなダメージになることが多々あるんです。
自分を全否定してしまうし、
つらかった時代が暗い穴をあけてこちらを見ているような。
なにかに夢中になっていても、どこかムキになって、
後ろを見ないように見ないように必死で走っているような。
人生も折り返しに来て、いまだになにやってんだと情けなくもありますが、
スヌーピーのあの名言
「配られたカードで勝負するしかないのさ。。」
これを胸になんとかするしかないですねえ。